【本】【感想】NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~

 

NETFLIXの最強人事戦略?自由と責任の文化を築く?

NETFLIXの最強人事戦略?自由と責任の文化を築く?

 

  

僕が、TV放送ではなく、動画を日常的に見るようになったのはここ2,3年だと思う。

最初はYoutubeで無料の"神業"動画系を見るのみだったものが、2017年にAmazon Primeの会員に4年間知らずに入会していたことに気づいて海外ドラマを見はじめた。

2018年からはNetflixの会員になった。今ではNetflixが一番視聴時間が長い。

 

最近、織田裕二主演のドラマ・映画を見るのにはまっている。

映画では、エリート公務員の成長を描いた「県庁の星」、余命宣告を受けた夫が妻の再婚相手を探す「ボクの妻と結婚してください。」が面白かった。
ドラマでは悪徳医師を描いた「振り返れば奴がいる」、貧乏生活の「お金がない」など、昔のドラマを懐かしみながら楽しんだ。

織田裕二のセリフの中で印象に残っている一つに、「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」のクライマックスで青島が放ったセリフがある。

「リーダーが優秀なら、組織も悪くない」

子供だった僕にはなぜかカッコよく聞こえた(なんと16年前!)。

 

(閑話休題)

 

今回読んだ本は、Netflixの組織論。

日本のTSUTAYAやゲオのように、昔は米国国内でDVDレンタルを行っていたこの会社が、いかにしてストリーミング配信で世界トップに上り詰めたか、人材戦略の観点から解説している。

いろいろ示唆に富む内容ではありましたが、簡潔にNetflixの人材戦略を表すのであれば次のようになると思う。

 

①ハイパフォーマーの人材のみ採用し、②従業員一人一人が真に求めるものと会社の目指すものを一致させることができれば、会社は成長する。

 

 

①ハイパフォーマーの人材のみを採用

ハイパフォーマーを採用することは一石二鳥、三鳥になるとのこと。ハイパフォーマーがハイパフォーマーを呼ぶということでしょうか。

このとき私たちは最初の重要な気づきを得る。それは、最高の結果を出せる人だけが会社に残っていたということだ。したがって経営陣が従業員のためにできる最善のことは、一緒に働く同僚にハイパフォーマーだけを採用することだと学んだ。これはテーブルサッカーの台を設置したり、無料で寿司を提供したり、莫大な契約ボーナスやストックオプションを与えたりするよりずっと優れた従業員特典だ。優秀な同僚と、明確な目的意識、達成すべき成果の周知徹底──この組み合わせが、パワフルな組織の秘訣である。

私の経験からいうと、ハイパフォーマーはすべてがうまくいっていることに満足しているというよりは、むしろチームの仕事ぶりに不満をもっていることが多い。最高の成果を強く求めるからこそ、それを達成しようとするなかで必然的に痛みや不満を感じるのだ。従業員にもってほしいのは最高を追求する姿勢であって、まじめに働きさえすれば会社が守ってくれるだろうという安易な気もちではない。

とはいえ、現実では、ハイパフォーマーを採用し続けるのは困難を極めます。良い企業は採用活動に力を入れていますが、本書でも採用活動を会社の最重要事項の一つと位置づけるべきと説いています。

採用面接は、マネジャーが予定しているどんな会議よりも優先され、また役員会の出席者が会議を欠席または中座してよい唯一の理由だった。噓ではない! あなたが候補者を評価するように、候補者もあなたを評価している。そのことを忘れがちだ。

一方で、採用活動とともに重要なのが"解雇活動"。企業は生き物なので新陳代謝を促す必要があり、そこに情は不要であると。

チームづくりで犯しがちなもう一つのまちがいが、今の人材が成長して将来必要な職務を担えるようになると思い込むことだ。これはとくにスタートアップにとって深刻な問題だ。創業者は草創期のチームに強い愛着を感じていることが多い。私がスタートアップの創業者に、会社が成長して業務内容が激変したら、今の従業員の多くはやっていけなくなると指摘すると、たいていこんな返事が返ってくる。「でも彼らが好きだし、みんな一生懸命やっていて、本当にいいやつらなんだ!」。だが考えなくてはいけない。今より大きな規模で仕事ができるだろうか? 今彼らのやっている仕事はこの先も必要なのか? 必要でなくなったら、彼らをどうするつもりなのか?

ネットフリックスでは人材管理に関して3つの基本方針があった。一つ、優れた人材の採用と従業員の解雇は、主にマネジャーの責任である。二つ、すべての職務にまずまずの人材ではなく、最適な人材を採用するよう努めること。三つ、どんなに優れた人材でも、会社が必要とする職務にスキルが合っていないと判断すれば、進んで解雇すること。

「解雇のタイミングを判断することが、会社の求めるスキルをもつ優秀な人材を採用できるかどうかのカギを握る。二つは表裏一体の関係にある。逸材を採用する能力がなければ、いい人たちを安心して放出できない。どっちかだけうまいなんてことはあり得ないし、それじゃ優秀なチームはつくれない」

 

 ②従業員一人一人が真に求めるものと会社の目指すものを一致させる

これを達成させるためには、やはり社内コミュニケーションを密にとる必要があります。

人数の少ないベンチャー企業であっても、情報が共有されていないことから経営判断にゆがみが生じることが多々あります(体験談)。

社内のどの部署、どのチームの問題であっても、従業員がそれを自分のものとして解決するには、経営幹部と同じ視点が欠かせない。この視点があれば、事業のあちこちに潜む問題や機会を発見し、うまく対処することができる。皮肉なことに、企業はいろいろな研修プログラムに多額の費用をかけ、従業員のやる気を高め業績を測定するために膨大な時間と労力をつぎ込みながら、事業のしくみを全従業員に説明するのを怠っているのだ。

皮肉なことに、会社の戦略や事業運営、業績に関する情報のほとんどが、社内で共有されていない。最近の上場企業は、そうした情報を全世界に公開しているというのにだ。決算発表の電話会議に参加する投資家の方が、その会社で働いている従業員よりも、事業の内情にくわしいのはなぜか? 企業は全従業員に対して決算発表を行うべきだ。いや、いっそ本物の電話会議を聞かせたらどうか?

 

(その他ハイライト)

イラク戦争の際、当時国防長官だったドナルド・ラムズフェルドは、戦争中のアメリカ軍のパフォーマンスについて聞かれ、こう答えた。「戦争は手もちの部隊で戦うものだ。将来こうあってほしいと思う軍隊で戦うわけではない」。だが私は優れたチームづくりについてマネジャーと話す際、これとは正反対の方法でとりくむようアドバイスしている。将来こうあってほしいと思うチームをつくる人材を、 今から 採用しましょう、と。

そしてこれを説明するために、「会社は家族ではなく、スポーツチームだ」という比喩を使った。優れたスポーツチームがつねに最高の選手をスカウトし、そうでない選手をラインナップから外すように、ネットフリックスのチームリーダーも継続的に人材を探し、チームを組み換えていかねばならない。

今の人材を、新しい職務にとりくめるように育成し教育するのが得策と考えるなら、経営陣はそれを全面的に支援し、マネジャーが必要なスキルを学べるよう手を差し伸べる。他方、必要なスキルを備えたハイパフォーマーを採用することが最善の選択肢だと思うなら、たとえそのせいで今のメンバーを解雇することになったとしても、真剣に検討してほしいと要請した。

偉大なホッケーのコーチは 10 試合終わるごとに、チームメンバー一人ひとりにパフォーマンスに関する全般的なフィードバックを与えていた。あなたがこれに相当することを自分のチームに対して行うとすれば、何をすればいいだろう?

 

さすが米国企業といったところでしょうか。Netflixのような急成長を遂げるためには、ここまで非情(合理的?)にならないといけないのかもしれない。

Netflixの給与は、googleなどを抑え世界最高水準で、平均約3,500万円(!)。

www.businessinsider.jp

 

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